第94章

神崎雅志は近くのカフェを見つけ、個室を取った。

紬が何をしようと、雅志は全部甘やかす。正しいか間違っているかなど関係ない。疑うという発想すらない。

神崎雅志が脇に腰を下ろした、その瞬間――視界がすっと暗くなった。彼はすぐさま、周囲に気取られないよう薬の容器を取り出し、錠剤を5粒、口に放り込む。

紬は眉をひそめた。

「雅志おじさん、どうしたの?」

隠したつもりでも、紬の目はごまかせない。

蒼海が先に言う。

「雅志おじさんは体が弱いんだ。紬、今は目の前の用事を片づけろ。話は帰ってからだ」

紬は渋々、姿勢を正した。

「おばさん、こんにちは! 紬っていいます!」

原田麻友は、なん...

ログインして続きを読む